
あんぱんで蘭子を演じる河合優美については「ナミビアの砂漠」を見て、鼻血を流すシーンが印象に残り、どこか所在なげな存在感のある素晴らしい女優だと思っていましたが、あんぱんの豪が出征する別れのシーンでその演技の素晴らしさを改めて感じさせてくれました。

SNSでその演技が絶賛されているので、同じようなことを書くのは気がひけるのですが、大ブレークするのはほぼ間違いないので書いてみます。

明日、出征することになった朝田石材店の石工の豪のあとを追った蘭子は、「豪ちゃん…は足が遅いき、弾に当たらんか心配や。きっともんてきてよ。きっとやのうて…絶対や」と声をかけます。

すると豪が「蘭子さん、わしからもお願いがあります。無事もんてきたら…わしの嫁になってください」と言うのです。
その言葉を聞き、「え?」と蘭子は一歩後ずさりして、首を傾げながら髪に手をやり、おどろき、とまどい、なやみ、恥じらい、切なさ、うれしさを、表情や目の動き、手の動きなどしぐさなどで表現するのです。その演技力はやはり圧巻で、艶っぽさとともに凄みすら感じられます。






表情ひとつや目の動き、しぐさでこれだけの表現できる女優さんはやはりそんなにはいないのではないでしょうか。
そして蘭子は「豪ちゃん…どういて今そんなこと言うが?」と言うのですが、今田美桜演じる、のぶにはっきり気持ちを伝えたほうがいいと言われて、「うち…おまさんのこと…うんと好きちや。豪ちゃんのお嫁さんになるがやき…もんてきてよ」と答えるのです。



そこに後を追ってきた江口のりこ演じる、母親の羽多子が「花嫁衣裳用意できんとごめんやで」「今夜はもんてこんでえい」と言って着替えの入った風呂敷包みを渡すのです。
そして蘭子と豪のふたりは夜汽車に乗っていくのです。


河合優美は美人さんなのですが、ちょっとたらこ唇で愛嬌もあります。余計なことを書きましたが、河合優美の演技と中園ミホの脚本の素晴らしさでこのシーンはNHKの朝ドラのなかでも名シーンとして残るのではないでしょうか。