錦光山和雄の「粟田焼&京薩摩」Blog

京都粟田窯元で「京薩摩」の最大の窯元であった錦光山宗兵衛の孫によ

映画「花まんま」

 

早くに両親に先立たれた俊樹とフミ子兄妹は、兄の俊樹が高校を中退して大阪の町工場で油まみれになって働いて親代わりとなり、妹のフミ子を一人で育てあげ大学まで出してやります。

 


 そのフミ子が動物行動学者と結婚することになり、俊樹は「兄貴はほんま損な役回りやで」とぼやきつつも、快く送り出すことにするのです。
 ただフミ子には秘密があります。若くして不慮の死を遂げた繁田喜代美という女性の記憶を持っているのです。
 幼い頃、フミ子のたっての頼みで、俊樹はその不慮の死を遂げた、娘の不在を埋められない、繁田の父親と姉、兄が住む彦根に行き、フミ子が花で作った花の弁当を渡したことがあるです。ただ俊樹はその時フミ子に二度と繁田家族と会わないと約束させるのです。

 

 


 結婚式の二日前にフミ子が父親の不在を埋めらずに繁田と文通をしていたことを知り、俊樹はフミ子の婚約者と一緒に車で彦根に向かい、繁田の家族に会い、二度とフミ子と合わせないと強く言い張ります。

 結婚式の前日、行きつけの居酒屋で「俺がフミ子を育てたんだ」とくだをまく俊樹をファーストサマーウイカ演じる居酒屋の娘が、自分だけが頑張っているようなことばっか言うんじゃないと平手打ちをくらわせます。

 


 そこで何かを感じた俊樹は結婚式の当日は彦根に車を走らせます。
これ以上はネタバレになるのでやめておきますが、花まんまとは花でできたご飯、お弁当のことだそうです。
 この映画ではツツジの花まんまが登場します。映画のなかでも花盛りのツツジが出てきますので、まさに初夏のツツジの美しい、いまの季節にふさわしい映画といえましょう。

  なお、この映画では陣痛を迎えたフミ子の母と瀕死の喜代美が担架に乗せられて病院の廊下でクロスすることによって、喜代美の魂が体を離脱してフミ子に棲みつくという設定になっており、フミ子を通じて死者・喜代美の魂と対話する形になっています。日本の夢幻能では死者と生者の対話がくりひろげられますが、その意味ではこの映画もその伝統に寄っているのかもしれません。

 



 

 

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