2024-01-01から1年間の記事一覧
フランス人の女性作家シドニが、自分のデビュー作の小説「影」の日本語版再販のプロモーションのために日本を訪れます。関西空港に着くと、編集者で無愛想な溝口健二がアテンドのために出迎えます。初めての日本にシドニはいろいろと戸惑います。 ホテルに着…
私事で恐縮ですが、鼻血がなかなか止まらなくて困ったことがありました。 朝起きて鼻をかんだりすると、左の鼻から血が出て止まらないのでティシュを詰めて静かにしているのですが、それでも止まらないのです。仕方がなく血で真っ赤になったティシュを何度か…
日経新聞の読書欄の「半歩遅れの読書術」で作家の高山羽根子さんが、台湾の作家呉明益さんの「自転車泥棒」のことを「奇跡みたいな本、というものがいくつもある。こんなものどうやって書くんだ、とか、人生のうちこんな作品がひとつでも書けたら、というふ…
浅井忠は、わたしの祖父七代錦光山宗兵衞と浅からぬ縁があることもあり、千葉県立美術館の「浅井忠、あちこちに行く」展に行って来ました。 浅井忠は安政3年(1856)に下総佐倉藩の重臣の子として江戸で生まれたましたが、7歳で佐倉に移住、20歳で工部美術学…
ある方のサジェスチョンで、はからずも南禅寺参道にある對龍山荘の庭園をめぐる僥倖(ぎょうこう)にめぐまれました。 以前、七代小川治兵衞を調べていたときに、對龍山荘の庭園には藁ぶきの水車小屋があり、水車がまわっていることは知っていましたので、そ…
わたしは、この小説が名古屋で開催された「台湾文学」の講演会で謝惠貞台湾文藻外語大学副教授が、戦前の昭和初期の台湾人作家巫永福(ふえいふく)を現代日本青年として登場させ、日本の文豪ゆかりの地を散策する小説だと紹介されたのを聞き、どうして戦前…
この小説は、光州事件を舞台にした小説です。 光州事件とは、ネットおよび映画「光州5・18」、「ソウルの春」によると、韓国の全羅南道の光州市で1980年5月18日から27日にかけて、全斗煥の賭けともいえる強行策で軍事クーデターを行い、それに抗…
道を歩いていると 枯葉が空中に浮いたまま風に吹かれてはためいている もしかしたら蜘蛛が枯葉が落下するのを惜しんで 細い蜘蛛の糸でうけとめたのだろうか 空は見上げなければ見えないと思っていたが 雨上がりの日に下を見たら空が見えた 落ち葉散る水たま…
ブッカー国際賞を受賞したというハン・ガンさんの「菜食主義者」という小説はちょっと不思議な小説でした。 この小説は、菜食主義者、蒙古班、木の花火という視点の異なる三編の中編小説でなりたっていて、それが一つの長編小説にもなっています。そこまで書…
11月16日、愛知県立大学長久手キャンパスで開催された国際シンポジウム「台湾白色テロ期の日本・台湾の文化アイデンティティの交流及び選択と再編」に出席しました。 わたしが台湾に興味を持ったのは、学生時代の恩師西川潤先生のお父様の詩人で作家の西川満…
わたしの祖父、七代錦光山宗兵衞が明治25年(1892)のシカゴ・コロンブス世界博覧会に出品した「色絵金欄手鳳凰文飾壺」が東京国立博物館の1階14室で開催されている「やきものを彩る金と銀」展(会期2024年10月22日〜12月1日)に展示されていて見ることがで…
"> ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンさんの『すべての、白いものたちの』を読んでみました。 この小説は、第1章が「私」、第2章が「彼女」、第3章が「すべての、白いものたちの」と独特な章構成になっています。 第1章 私 冒頭は「白いものについて書…
"> ひょんなことからアイヌに関心を持ちました。 たまたまアイヌに関係する映画が上映されているということで「シサム」という映画を見ました。 "> この映画は江戸時代前期に松前藩士の子息である孝二郎がアイヌの交易品を他藩に売るために兄のいる北海道に…
この映画の主人公は、21歳のカナです。 彼女は顔が小さくて手足が長く、抜群のスタイルで、美容脱毛のエステシャンをしています。そんな彼女は、ハンバーグを手作りでつくってくれるような優しい彼とはあっさりと別れ、クリエイターの男と同棲をはじめます。…
「「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」は、差別のない平和な世界を目指している天才的認知科学者である苫米地英人博士の素晴らしくも輝かしい名著であります。 また、この本は、大変好評をいただいております開拓社の「苫米地英人コレクション」…
絲山秋子の著書「神と黒蟹県」を読みました。 絲山秋子という作家は、「海の仙人」でもそうでしたが、とぼけた神を描くのが実にうまいと感心しましたが、この小説でもその持ち味を存分に発揮しています。 通常、八百万の神はほとんどひっそりと存在している…
わたしはこの小説を読んで、純文学という器がなんでも包摂してしまう奥行きのある大きな構造を持っていることを知り驚嘆しました。 なんとこの小説に登場する父親は、赤ちゃんであった兄の体内にシシャモのように存在していた胎児が手術によって産み出された…
この映画は少し変わった映画です。 世間からはみ出たアウトローの泥棒集団のピカレスク(悪漢物語)かと思っていたら、ギリシャ神話でオルフェウスが毒蛇に噛まれ亡くなった妻を連れ戻すためにを地下の冥府に下ったが、冥界の王との約束を破って後ろを振り返…
"> この映画は、音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデス監督が、村上春樹の「めくらやなぎと、眠る女」「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「かいつぶり」の6つの短篇を再構成…
ご案内です。 本書は、わが国の英語研究者でこの本を読まないものはいないと言われる名著です。ご興味があればよろしくお願いいたします。 エッセンシャル英文法の目次は下記の通りですのでよろしくお願いいたします。 ○©錦光山和雄 All RightsReserved #オ…
この映画は、グレイシーという36歳の既婚女性が12歳の中学1年生のジョーとペットショップの倉庫で情事におよび、警察に逮捕され、獄中で子供を出産、出所後、夫と離婚したグレイシーはジョーと結婚という、実際あったスキャンダラスな実話をもとにしていると…
東京薩摩 樋口奇山 上絵金彩道中図コーヒーセット ©横山美術館(Yokoyama Art Museum) 名古屋の横山美術館の企画展「海外で愛された薩摩様式のやきもの サツマの輝き」展(8月25日まで開催)展に行ってまいりました。 "> "> ©横山美術館(Yokoyama Art Museu…
この映画は薩摩焼の歴史とともに400年を生きてきた沈壽官家の話である。 豊臣秀吉が明を征服するために30万の大軍で朝鮮出兵したという、文禄・慶長の役(1591年〜1598年)は、当時の東アジアにおける大戦争であり、最大の激戦地となった全羅北道・南原では…
ご案内です。 英単語を()に埋めるだけで飛躍的に英語力がアップする 『#最小英語テスト(#MET)ドリル〈大学入学共通テスト聴解版&読解版』 (#牧秀樹 #岐阜大学教授) 天才的科学者・ 苫米地英人博士監修の 世界で活躍する次世代リーダーを育成する 高校…
瑠璃雲錦詰人物図 朝日堂 たまたまパレスホテルビルの地下に入ってみましたら、朝日堂さんの支店がありました。 京都の清水寺の近くにある朝日堂さんの本店には何回か行っているので、入ってみますと、抹茶茶碗などが並べられていたのですが、奥の棚を見て見…
皇居三の丸尚蔵館の第4期、「皇室のみやびー受け継ぐ美」展に行ってきました。 最初に展示されていたのは文字と絵で物語をつづる絵巻の「春日権現験記絵」でした。 この絵巻には職人の働く姿とともに春日明神による夢でのお告、夢告の場面があり、竹林に座す…
世田谷文学館の「伊藤潤二」展に行ってきました。 伊藤潤二さんのことは詳しくは知りませんが、解説によると、歯科技工士をしていたころ、ホラー漫画誌「月刊ハロウィン」に投稿して、『富江』での「楳図賞」を受賞してデビューしたそうです。 『富江』とい…
早稲田大学の村上春樹ライブラリーの「変身するカフカ」展に寄ってみました。 いくつか展示があるなかで心に残った言葉がありました。 本というのは、僕らの内なる凍った海に対する斧でなくてはならない フランツカフカが1904年に友人に宛てた手紙の一部だそ…
2023年1月に発売した拙著『粟田、色絵恋模様』の「ためし読み」企画を試みることにいたしました。 『粟田、色絵恋模様』は、京焼を代表する京都粟田焼窯元で、わたしの祖父である七代錦光山宗兵衛と祖母千恵および父雄二など、錦光山一族をモデルにした…
"> A miniature robe chest on six feet with scenes of animals and birds Kinkozan Sobei 、painted by Sozan ©Victoria and Albert Museum 絵金彩山水図蓋付箱 七代錦光山宗兵衛 絵師素山 ©ヴィクトリア&アルバート博物館 ロンドンのヴィクトリア&アル…