錦光山和雄の「粟田焼&京薩摩」Blog

京都粟田窯元で「京薩摩」の最大の窯元であった錦光山宗兵衛の孫によ

映画「宝島 HERO'S ISLAND」

 

 米占領下の1952年、沖縄で米軍の基地から物資を強奪して地元民に分け与える「戦果アギヤー」という若者の集団があり、そのリーダーはオン(永山瑛太)という若者であった。

 オンには幼馴染のグスク(妻夫木聡)という親友やヤマコ(広瀬すず)という彼女、レイ(窪田正孝)という弟がいた。
 ある夜、「戦果アギヤー」は、嘉手納基地に侵入し、手当たり次第に物資を奪っていたが、MPに発見され、銃弾を撃ち込まれながら逃走するが、何台もの軍用ジープに追いつめられる。
 グスクはオンと別れわかれになって夜の密林に逃げ込む。グスクは密林のなかで女の叫び声が聞こえた気がしたが、なんとか基地から脱出する。しかし、リーダーのオンは生きているのか殺されたのか、捕まったのか分からないまま、それ以来、消息を断つ。地元民のヒローだった男が消えたのだ。
 それから6年後、グスクはオンの行方を探すために地元の刑事になる。その頃、ガザの繁華街は、米兵がわがもの顔で歩きまわり、女給が殺されて、グスクが捕まえようとしてもM Pがやって来て逮捕できず、グスクは怒りを溜めこんでいく。
 グスクがオンの失踪の謎をいろいろ調べていくなかで、基地に侵入したオンはマフィアに頼まれて、米軍基地から武器を奪おうしていたことが分かる。グスクは、病院でマフィアのひとりであった男に、武器を奪って成果をあげたのかと問いただすと、結核で死ぬ寸前のその男は、"予定外の戦果"をあげたとだけ答える。それ以外は依然として謎のままだった。その''予定外の戦果"をめぐって米軍も動き出し執拗にグスクに迫ってくる。
 オンの彼女だったヤマコは、消息を断ったオンが戻ってくるのを待ちながら、かつて海岸でオンがいくら基地から物を奪っても、それだけでは沖縄は変わらないと言うのを聞いて、教師になることを決意、働きながら勉強して小学校の教師になる。1959年、その小学校に米軍機が墜落、小学校は炎上し死者17名、重軽傷者210名の大惨事となる。
 弟のレイは、繁華街の店からミカジメ料をとる地元のヤクザの舎弟となっていた。そんな繁華街で花売りの不思議な少年ウタ(栄莉弥)と知り合いになる。少年ウタはヤマコとも知り合い、沖縄の祖国復帰運動に邁進するヤマコに憧れを抱くようになる。
 ヤクザでしのぎを削るレイは、ある日、民族派の男たちと激しい闘争して、彼らとともに沖縄の米軍に仕返しをすることを決意する。


 時は流れて1970年、米兵が地元民を引き殺す交通事故をきっかけに、米施政下での圧政や人権侵害に不満を高めていた地元民によりコザで暴動が起こり、大量の米兵の車が焼かれ、米軍が出動する事態になる。
 そんな最中、レイは米軍基地に忍び込み、毒ガスをまこうとする。レイのあとを追いかけていたグスクはそれを止めようとして取っ組みあいとなり、米軍が出動してきて、彼らを取り囲み、レイを打ち殺そうとする。その瞬間、青年になっていたウタが現れる。
 このあと、地元のヒローだったオンの失踪の謎が解き明かされていくのだが、ネタバレになるのでここでやめておきます。ただオンの失踪の謎にしても”予定外の戦果”にしても米占領下の沖縄らしいものであることを付け加えておきます。


 この映画は作家真藤順丈直木賞受賞作「宝島」が原作だそうだが、沖縄の史実を追いつつ失踪したヒローであるオンの謎を追い、"予定外の戦果"とは何なのかというミステリー仕立てで、骨太で圧倒的な熱量の作品に仕上がっていると言えましょう。また沖縄の繁華街の街並みなどとてもリアルに再現されいるだけでなく、米軍に支配され日本からも見捨てられた沖縄の人々の怒りがリアルに描かれていて、大友啓史監督の手腕の高さがうかがえます。

 


 さらにこの映画は暴力シーンが多い映画ですが、米占領下の沖縄では暴力がまかり通っていたことを考えると致し方がないように思えますし、窪田正孝の暴力シーンの演技は凄惨さを感じさせ、また永山瑛太妻夫木聡広瀬すずの演技も熱量を伝える演技といえましょう。


 世界でいまだに紛争が絶えず、多く人々が死んでいっていることを思うと、残念ながら、この映画が描いた世界は依然として現在と地続きであると言えるのではないでしょうか。

 

朝日新聞夕刊

○©錦光山和雄 All  Rights Reserved

著書「京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛伝 世界に雄飛した京薩摩の光芒を求めて」

「粟田、色絵恋模様 京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛外伝」

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