道を歩いていると
枯葉が空中に浮いたまま
風に吹かれてはためいている
もしかしたら蜘蛛が枯葉が落下する
のを惜しんで
細い蜘蛛の糸でうけとめたのだろうか
空は見上げなければ見えないと
思っていたが
雨上がりの日に下を見たら
空が見えた
落ち葉散る水たまりに
秋の空が映っていた
水たまりをまたぐと
自分の黒い影がゆらいでいた
紅く紅葉した葉っぱの先に
いくつも雨のしずくが光っている
だれかがたくさん流した涙をおき忘れたように
水面がほんの少しゆれる
メダカが水面ちかくに顔を出すのか
晴れているようにみえて
見えないくらいの天気雨が
水面を打っているのかわからない
深い秋の夜
夢をみた
自分の臨終の場面だった
辞世の句を詠んだ
言葉をつくして
わが魂を解き放ったり
と
みかんの皮をむくと瀬戸内海の
海のかおりがした
みかんの果肉をほおばると
瀬戸内の太陽の果汁が
くちいっぱいに
ひろがった
因島みかんには
瀬戸内海がいっぱい
つまっている