Amazonだけでなく
リアル書店でも
『粟田、色絵恋模様 京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛外伝』
発売中です。
それだけでなく、錦光山宗兵衛の評伝で正伝でもある
『京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛伝 世界に雄飛した京薩摩の光芒を求めて』 も併せて絶賛発売中です❣❣
『粟田、色絵恋模様』は
錦光山宗兵衛の家族や周りの祇園のおんなたちの
人間模様が描かれた小説で
宗兵衛の外伝ともいえるもので
正伝の姉妹編といえます!
大手書店だけでなく、
街の書店さんも頑張ってください! 応援してます❣
*
さて、五歳の少年の叫びが、あなたもに届くだろうか⁉
"なあ、あんた、ここにおいやす方、
どなたか知っとるかと、
お民は自分の背後の方を指さしてみせた。
雄二は爪先を立て、
伸び上がって小部屋のなかをじっと覗いて見た。
うす暗い部屋のなかに男がひとり座っているのが見えた
が、
夏の陽にさらされた眼には誰なのか、はっきりとは見えな
かった。
「あて知らん」と頭を振ってみせた。
「知らんことおすかいな」と、女は大きな笑い声を立てた。
「あんたのお父さんどすがな、よう覚えておかなあかしまへ
んがな、宗兵
衛さんというお方どすえ」
雄二はびくっとした。
なぜ父がこんなところにいるのだろうか。
眼を凝らして見ると、
時々、母の家へやってくる父なる人であった。
ピンとはね上がったヒゲの下で口元をすぼめるようにして
笑っている"
”もうすぐ、そこに母の家もあると思うと、
激しく胸が高鳴り始めた。
母と会えたら、母の胸に顔を埋めたい。
そして母に言おう、
何してたんやお母ちゃん!
長い間、あてを放ったらかしといて、
あほッ!”