日経新聞に紹介されていたので「月に吠えらんねえ」展を見に行ってきました。
わたしは知らなかったのですが、「月に吠えらんねえ」展というのは、清家雪子さんという漫画家が、市川市ゆかりの詩人である萩原朔太郎や北原白秋、文豪の永井荷風などの作品からイメージされたキャラクターが登場し、時空を超えて交流する漫画を紹介する展覧会でした。
わたしはその漫画を読んでいないので語る資格はないのですが、「月に吠えらんねえ」という漫画のなかで、萩原朔太郎は「朔さん」、北原白秋は「白さん」、永井荷風は「カフー先生」として登場し、そのほかにも草野心平は「ぐうるさん」、吉井勇は「ヨッシー」、谷崎潤一郎は「潤さん」、芥川龍之介は「龍さん」、三好達治は「ミヨシくん」、室生犀星は「犀」として登場するそうです。
わたしは北原白秋の住んでいた市川市の「紫烟草舎」を訪れたり、永井荷風が愛して毎日のようにカツ丼を食べに行った「大黒家」を見に行ったり、北原白秋と三人の妻を描いた瀬戸内寂聴の小説『ここ過ぎて:白秋と三人の妻』を読んだり、白秋と燐家の人妻の恋を描いた映画「この道」や室生犀星の短編小説を映画化した「蜜のあわれ」を見たりしていたこともあって、漫画「月に吠えらんねえ」に興味を惹かれましたが、萩原朔太郎や北原白秋の詩集や永井荷風『断腸亭日乗』を愛読している方にはたまらない漫画ではないでしょうか。実際、この漫画には登場人物の文学作品が参考文献として数多く掲載されているようです。
日経新聞には「疫病や戦争といった視点から現代的な解釈を試みたのは、作家・詩人の松浦寿輝だ。朔太郎が文壇に登場した1920年前後、スペイン風邪の流行や第1次世界大戦で世界には暗雲が垂れ込めていた」と書かれています。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻という世界を分断し閉塞感がただよう現在においても、「えたいの知れないものが自分の皮膚に迫ってくる」という感性は通じると言及しています。
わたしは萩原朔太郎の『月に吠える』を読んだかどうか記憶もあいまいで、萩原朔太郎のことはほとんど何も知らないのですが、この詩人の鋭敏な感性が、現在のような、えたいの知れないものが迫ってくるような憂鬱な時代を先見していたのかもしれないと思われるのです。
〇©錦光山和雄 All Rights Reseved
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