錦光山和雄の「粟田焼&京薩摩」Blog

京都粟田窯元で「京薩摩」の最大の窯元であった錦光山宗兵衛の孫によ

浅草の技、江戸の粋:THE WORLD OF TSUGE KYOUZABUROU

 

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 世界的なパイプメーカーの(株)柘製作所の柘恭三郎会長にお招きいただきまして、貴重なコレクションを拝見してまいりました。

 

 柘製作所といいますのは、柘恭三郎会長のご先祖が、金沢の刀鍛冶をされていた刀工であったそうで、それが幕末の廃刀令で職がなくなり、お父様の恭一郎様が13歳のときに浅草で象牙パイプや小物を作っていた海端商店に丁稚奉公に入り、朝早くから夜遅くまで働き、昭和11年に独立して象牙パイプ作りの工場を造られたのが創業だそうです。

 

 お父様の恭一郎様は「職方商人(しょくかたあきんど)たれ」と常々言っておられたそうで、これはパイプ作りは芸術的な一面も持ちながら、使い心地の良い道具でなければならないという性質を持っことから、ただの職方であるだけでなく、職人が作るものに付加価値をつけられなければ仕事に発展性がないという言葉だそうです。

 

 パイプは元々は西洋のものでしたが、柘製作所のパイプはその匠の技が世界の愛好家から支持を受け、海外との取引も多く柘恭三郎会長もよく海外に行かれているそうであります。

 

 また、われらが天才的脳機能学者の苫米地英人博士も知る人ぞ知る筋金入りのパイプマニアで、柘製作所が展開するTSUGEブランドの最高峰ともいえる「IKEBANA」シリーズで「苫米地英人特製オリジナルパイプ」の「IKEBSANA:苫米地モデル」を推奨されております。 

 

 世界最高峰の柘製作所のパイプ

 The Masterpieces of Pipe of  TSUGE SEISAKUSHO

 

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 柘製作所の柘恭三郎会長は、生まれも育ちも浅草の生粋の浅草っ子だそうです。浅草というのは、江戸時代から現在にいたるまで職人の町だそうで、木彫師、飾職人、装飾職人、履物、鞄類などあらゆる職人がいるそうです。

 

 浅草で生まれ育った柘恭三郎会長は、江戸文化に造詣が深く、またパイプを始めとして浅草の職人の匠の技、とりわけ明治期の超絶技巧の工芸の素晴らしさを世界に向けて発信されておられる方で、昨年もオレゴン州立大学に「江戸のクール」というテーマで講演に行かれたそうであります。

 

 (株)柘製作所 千社札を背に笑顔の柘恭三郎会長

      Mr.Kyozaburo Tsuge  The chairman of Tsuge Seisakusho

 

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 柘恭三郎会長に最初に見せていただいたのが、千社札(せんしゃふだ)でありました。

 千社札というのは、祈願を立てた職人や商人が姓名や屋号を白紙に墨で記した札を神社仏閣に貼ったもので、風雨にさらされて紙が朽ち、墨だけが残ると「抜ける」といって、念願成就間違いなしと信じられてきたといいます。

 千社札には寺社に奉納せずに仲間と交換して遊ぶ「交換札」というものもあるそうで、「連」というグループを作って千社札の交換を愉しんでおられるようです。

 下の写真の千社札は柘恭三郎会長の千社札でよく見ると、住所までわかる仕掛けが入っているとのことです。浅草っ子の粋な計らいと言えるのではないでしょうか。

 

 千社札  Sensha-fuda

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 次に見せていただいたのが、江戸の粋でいなせな男の浮世絵でありました。

 下記の2点の浮世絵は、豊国の浮世絵で、帯はそろばん模様、首に巻いたてぬぐいは豆模様で、それは江戸の粋な男たちの定番の模様であったそうです。

 

 浮世絵 豊国画

 UkIYOE    TOYOKUNI

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  次の浮世絵は、弁慶のぼかし模様を背にした、脚にも刺青のはいった江戸のいなせな男の浮世絵であり、足元を見ると、下駄が「真っ角」で、これが江戸風だといいます。上方の下駄は角が丸まっているそうです。

 

 浮世絵 豊国

 UKIYOE    TOYOKUNI

 

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  最後に根付を見せていただきました。根付とはタバコ入れなどの「提げ物」を着物の帯から落とさないように吊すもので、下の写真にありますようにタバコ入れは帯の下に出ていますが、帯の上にある根付は見えずらいが、チラチラ見え隠れするくらいの「ちら見」が粋だというお話です。

 

 100点以上のさまざまな根付を見せていただきましたが、そのほとんどが象牙根付で、すこしだけマンモス根付もありましたが、残念ながら写真は公開できません。

 それらの根付はとても精巧に出来ていて、ダルマさんを振ると、目が出て来て、「おめでたい」になるものや、「色っぽい」仕掛けのあるものまであって、下町の旦那衆の「お茶目」な遊び心を彷彿させてくれるものもありました。

 また夏場、縁台で二人の男が腕まくりして将棋を指している根付は、その男たちの表情といい、足の裏まで細かく彫られていて浅草の職人の匠の技に驚かされました。

 柘製作所の下請け職人で高名な根付作家であった空哉の作った苫家(とまや)の前に兎がいる根付を見せていただきましたが、苫家には二枚の引き戸があり、開くと人と動物がいるのには驚きました。また空哉作の「羽衣」の帯留を見せていただきましたが、天女の顔が柘恭三郎会長のお母様に似せてつくられていまして、ここにも浅草の職人の技と粋な計らいを見る思いでありました。この他にも、「松山」、「光晴」の銘のあるものがありました。

 さらに柘製作所の職人が作ったという、彩色された果物の半面に、針で彫ったのかと思われる、とても精巧な人物の象牙細工のものがあって、これらは帝国ホテルの外人に売られたそうで、柘製作所の職人の腕の確かさが伺い知れるものでありました。

  

 下の写真は、龍の模様のタバコ入れ、赤い尾締メ、それに根付です。そしてそれを腰につるしたときの写真であります。

 なお、扇子を後ろに指すのが、浅草の町衆の粋なところだそうです。

  

 タバコ入れ 尾締メ 根付

 Tabacco Case & NETUKE

 

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 これらの根付の技は現在では再現不可能な超絶技巧のものがあり、京薩摩と相通じるものを感じました。その意味で、現在の日本のモノづくりの原点に明治期の職人の匠の技があり、欧米ではそこに光が当てられていますが、日本ではなかなかそこまで行っていないのが現状かと思われます。

 こうしたなかで世界に向けて日本の職人の匠の技を伝える活動を展開されておられる柘恭三郎会長に感謝いたしますとともに、洒脱で飾らないお人柄と相まって、深くリスペクトいたします。

 柘恭三郎会長、どうも有り難うございます。

 

 

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○©錦光山和雄Allrightsreserved

 

 

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